2014年3月19日水曜日

クリスティ文庫(37)

 冒険ミステリー小説の主人公の女性は、だいたいタペンスのような感じだ。
 普通の小説の主人公も同じタイプかと思ったら全然違う。
 空想の世界に浸るタイプが度々出てくる。クリスティ本人は、むしろこちらの方のタイプではないかと思う。
 『愛の重さ』、34頁、主人公のローラは空想したことが現実に起こったような錯覚をいだく。よくわかる。自分も空想が現実であるように話してしまいそうになり、現実を正しく認識するように自分に言い聞かせることがある。
 ローラは、歩きながら想像上の会話を繰り返し、あまり深くそれに没入していたので、知り合いがやってきたのに気付かずやりすごすところだった。これもまたよくわかる。自分も歩きながら頭の中の会話に熱中して知り合いに気付かずに、後からそれを指摘されたことがある。
 看板や木の枝に頭をぶつけたこともある。
 クリスティの小説に飽きがこないのは、作者と非常に気が合うせいではないかと思う。

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