2014年6月28日土曜日

ドリー

 『多崎つくる』を読んだ後、おもしろいのかつまらないのかよくわからず、他の人はどんなことを感じたのだろうと検索してみた。
 アマゾンで感想を読んだら、その感想がすごくおもしろく、たくさんの人が同様におもしろいと思ったようだ。それで、ドリー著『村上春樹いじり』という本が出版され、驚いたことにさいたま市図書館に二冊入っていた。
 映画の予告を見て、その予告シーンくらいのが他にもたくさんある、あるいはもっとすごいことがあると期待して、結局予告のシーンがその映画のマックスで、他のシーンはそれよりおとなしく、期待しすぎて却ってがっかりすることがある。
 本は春樹のデビュー作から順番に感想が書かれていて、最新の作品について書かれたもの以外は、本を出すために改めて読んで書きおろしたものらしい。
 本を読むとアマゾンで読んだものよりは、かなりおとなしい。だんだん眠くなってきたところで、107頁で声を出して笑ってしまった。これを読めただけでこの本を読んだかいがあった。ここの部分は『ノルウェイの森』について書かれたもので、やっぱり『ノルウェイの森』か、と思ってしまった。
 登場人物が互いに相手を傷つけたのではないかと堂々巡りの会話を続けていて「いいかげんにしろ、顔を洗って出直してこい」という気分になるらしい。
 これが「もう・・だんだんイライラしてきますよ。コミュニケーションなんて傷つけあいじゃないですか!!!本来は!そこからスタートですよ!こんなガラスのハートをペロペロ舐め合ってるようじゃ、心もそりゃ脆くなるよ!!!一回、2ちゃんで叩かれて、ハートを鍛えたほうがいいねこいつらは!」と表現されている。
 理由も言わずに突然音信不通になるのは、『多崎つくる』に始まったことではなく『ノルウェイの森』から既にそうらしい。これは、自分が相手にきついことを言って傷つけたり、逆にきついことを言われて自分が傷つくのを避けたいためらしい。
 何にもわからず音信不通にされる方がよほど傷つく。理由も言わずに音信不通になった相手は自分のために最後に一回傷つくことを我慢する親切心すらも持ってくれなかったのだなぁと思う。

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