2014年6月25日水曜日

多崎つくる

 村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』、これまで、村上春樹の小説を読んだことがなかったが、あまりの評判にどんなものか一度読んでみようと思った。
 去年(平成23年4月)に図書館に予約して今年の6月に順番がきた。その間にもう新作が出たらしい。
 読みやすく、それなりにおもしろい。推理小説やミステリーでなくても謎を提示して、その謎に対する興味で読者をつなぎとめることは、普通の小説でもよくあることだ。
 主人公(つくる)は自宅で、遊びに来た友人(灰田)の語る不思議な内容の話を聞き、話が長くなって午前一時に寝た(友人は泊った)。
 96頁「その夜、いくつかの奇妙なことが起こった。」その後、場面が変わり112頁に続きが語られる。
 「暗闇の中ではっと目を覚ました。」「身体全体が動かなくなっている。」「身体に力を入れようと思っても、それができない。意識と筋肉がひとつに繋がらないのだ。」「自分以外の誰かが室内にいることが気配でわかる。」「誰かが闇の中に潜んで、彼の姿を見つめている。」「それが灰田であることがつくるにはなぜかわかった。」
 それって金縛りでしょ、と思い、がっかりする。奇妙でもなんでもない。
 113頁、「本物の灰田は、その現実の肉体は、隣室のソファの上でぐっすり眠っており、ここにいるのはそこから離脱してやってきた灰田の分身のようなものなのではないか。そういう気がした。」
 100パーセント断言するが、灰田は現実に主人公の部屋に入ってもいないし、灰田の分身のようなものもきていない。
 よく金縛りを経験する人間にとっては、奇妙にも感じないし、分身うんぬんは、たわごとでしかない。

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