2015年7月4日土曜日

破れぬ誓い

 ハリー・ポッター第六巻「謎のプリンス」の最大の謎、スネイプはどっち側なのか?についての答えは第七巻に持ち越される。
 第六巻の最後では、ダンブルドアのスネイプに対する信頼は裏切られたようにもみえるが、ダンブルドアが命乞いをするとも思えないので、表面どおり受け取ることができない。
 スネイプがやっぱりダンブルドアの信頼を裏切っていないと思わせる最大の要因は、ハリーがプリンスを「指南役でもあり、友達でもあった」(第24章セクタムセンブラ)と思い続けており、スネイプは本当はいい人間だと思えるところだ。その点でプリンスの正体は、この巻で重要な役割をはたしているように思う。
 この点で、原作は教科書を隠したのが、スネイプに没収されるのを恐れ、あくまでも手放さないようにという意図だったのが、映画の方は、教科書を手放す意図で隠したように見えるのは、少し違うように思う。
 第七巻を読んでも、スネイプがどういう考えで破れぬ誓いをしたのか、ダンブルドアはそのことを知っていたのか、知っていたとしたらいつ知ったのかがわからない。
 自分はダンブルドアは最後まで知らなかったのではないかと思う。ドラコが闇の帝王に命じられた行為をスネイプが代わって実行することは、実現可能であり、危険が少ないようにも思われるが、ドラコが他の人間にも危害が及ぶような方法をとる場合に、それを妨げるのは、誓いを破ることにもなりかねず死の危険性はかなり高いように思う。
 ドラコが素直にスネイプの忠告を聞かなくなっているので、誓いをした時点で考えた以上の危険が発生したように思う。
 この困難さを考えたとき、ダンブルドアのスネイプに対する態度は非情にも感じられる。だから、ダンブルドアはスネイプが破れぬ誓いをしたことを知らなかったのではないかと思った。
 ただ、優秀な人間は自分が簡単にできるので、他人にとっては難しいことであることに気づかず、他人に対する要求が高く非情に見えることがあるので、知っていた可能性も否定できない。

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