現代の作家がワトソンの手記として書いた作品。現代の探偵ものは過剰な性犯罪、暴力描写が多くて、これなら安心と思って読んだら、絹の家の正体がわかってびっくり。今話題の合宿所を下敷きにして書いたかのよう。 共通点は、少年たちが親の庇護のもとにいないこと、逃げ出すと将来を棒に振ること、有力者がその事実を自己の利益のため隠ぺいすること、絹の家の主催者が自己の行為を肯定し、罪の意識はないこと。
以前、現代の作家が19世紀後半に時代設定し、女性を探偵役にした作品を読んだが、上流家庭で息子を父親の行為から守るために母親が殺人を犯した話だった。父親はその父親から同様の行為をされていてその悪癖を教えられたのだった。父親は過去被害者で、現在は加害者。母親は、それが繰り返されるのを止めようとした。いじめられているのを黙ってみていた同級生も、飲酒運転がされるのを止めなかった店主や同乗者も加害者と同罪とみられる今日この頃。母親の苦悩はよくわかる。
どちらも時代設定が19世紀末というだけで、内容的には、現代作家と同様性描写についてのタブーは存在しない。
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