2019年9月23日月曜日

ジーヴスとねこさらい(14)

 バーティーは湿疹ができ、医師の忠告により、田舎にでかけることにした。ダリア叔母さんが友人宅のところに行くので、近くにコテージを借りてもらった。
 ダリア叔母さんの友人は馬主で地方競馬に出走させる予定。対抗馬は猫と仲良くなり、猫がいないと餌を食べなくなることから、賭けに有り金をつぎ込んだダリア叔母さんが、猫を盗み出そうとする。
 対抗馬の馬主(クック)のところにはプランク少佐が滞在しており、少佐はバーティーにあったことがあるが、詳細を思い出せない。クックは、娘の婚約者の遺産を管理しているが、お金を渡さないので、結婚できないでいる。

感謝だ、ジーヴス(13)

 バーティーの友人ジンジャーが下院選挙に立候補し、選挙活動のため、ダリア叔母さんがいるブリンクレイ・コートに滞在中。バーティーは戸別訪問をして協力するため、同所に赴く。そこには、ジンジャーの婚約者フローレンスと応援演説を引き受けたシドカップ卿とその婚約者マデラインも滞在。
 トム叔父さんに銀器を売りつけるため、金持ちの実業家ランクルもいた。ダリア叔母さんの娘の婚約者ガッシーの父親がランクルの会社に勤めていたときにした発明で、ランクルは大儲けしていた。お金がなくて結婚できないでいるガッシーのために、ランクルから儲けの一部を引き出そうと、ダリア叔母さんはアナトールの料理でランクルを懐柔しようとしていた。
 元執事のビングレイは、執事と従者のためのクラブが保有する雇主についての情報が記されているクラブブックを盗みだし、ジンジャーの対戦相手の候補者に売りつけようとした(同所にはジンジャーに不利な内容が記載されている)。

2019年9月21日土曜日

お呼びだ、ジーヴス(12)

 バーティーがジーヴスを同伴できない学校に入っている間、ジーヴスはロースター・アビーの当主ビル・ロースターの執事をしている。
 ビルは獣医をしているジルと婚約しているが、お金がないのでジーヴスを会計係にして競馬の掛屋をしている。
 客が大当たりをして掛け金を払えないので逃げ出したが、後をつけられる。客はハンターのビッガーで途中逃げる車を見失ったが、車のナンバーから、ロースター・アビーに訪ねてくる。
 ビルの姉が大金持ちのアメリカ人の未亡人ロージーと知り合い、ロージーがロースター・アビーを購入してくれそうなので、ロージーをロースター・アビーに招待していた。
 ロージーとビッガーは知り合いだった。

2019年9月20日金曜日

がんばれ、ジーブス(11)

 ガッシーがマデラインに不満を持っているのを知ったバーティーは二人の仲を取り持つためトトレイ・タワーズに行く。
 マデラインの父親は最近黒琥珀の像を手に入れた。高価な像をタダ同然に手に入れたと知った姪のスティッフィーが義憤に駆られて、バーティーに像を盗んで元の持ち主に返し、正当な値段でトム叔父さんに売却させようとする。
 新しく来た料理人はバーティーの知り合いでアメリカ人の大富豪の娘だが、仕送りを競馬ですってしまい生活費を稼ぐためだった。それ以前にガッシーと知り合い親しくなっていた。

2019年9月17日火曜日

ジーヴスの帰還(10)

 ダリア叔母さんのブリンクレイ・コートに滞在。トム叔父さんが商談相手の療養に付き合って不在。商談相手の妻と連れ子(ウィル)、ダリア叔母さんの友人の娘(フィリス)とその義理の父(母の再婚相手、バーティーの寄宿学校の元校長)とボビー(フィリスの友人で以前バーティーが結婚しようとしてやめた娘、短編でエピソードあり)の五人が既に滞在している。
 ダリア叔母さんは息子が病気で看病のため不在。ウィルがフィリスに求婚しようとしているが、ウィルに悪評があり、心配したダリア叔母さんは、精神科医のグロソップにウィルの精神鑑定を依頼。執事が休暇中で不在のため執事になりすまして、秘密に身近で観察することにする。
 ジーヴスも休暇中で不在。ボビーが勝手にタイムスにバーティーとの婚約記事を載せる。ボビーはキッパー(バーティーと同じ寄宿学校にいた。雑誌編集者)と婚約しているが親が反対しそうなので、その同意をとりつけるための計略。記事をみて驚いたキッパーがブリンクレイ・コートに駆け付ける。キッパーは元校長の私立学校についての著書を酷評する記事を書いており、その記事を読んだ元校長が名誉棄損で雑誌社を訴えようとする。トム叔父さんのコレクションの一つが消え、ウィルが疑われる。解決不能の問題が多発してバーティーはジーヴスに助けを求め、ジーヴスが休暇を切り上げてやってくる。

2019年9月14日土曜日

ジーヴスと封建精神(9)

 ダリア叔母さんは自身が発行する週刊紙をトロッター氏に売り込む。週刊紙の価値を高めるため、高額報酬を取る人気の女性作家と連載の契約をする。報酬金の調達方法は伏せられている。
 トロッター婦人の連れ子の息子(パーシー・ゴリンジ)はフローレンスの小説の戯曲を書いて上演しようとしている。出資者の一人の都合が悪くなり、パーシーが金策するが、その調達方法も伏せられている。フローレンスは婚約者と仲たがいする。
 スポードはシドカップ卿になっていた。
 真珠の盗難騒動が起き、バーティーの罪をジーヴスが被りそうになり、それをバーティーはジーヴスの封建精神の現れとみる。
 

2019年9月13日金曜日

ジーヴスと恋の季節(8)

 バーティーは、アガサ伯母さんの友人宅デヴリル・ホールに行く。そこの村のコンサートに出演するためだ。
 デヴリル・ホールの当主エズモンドは、コーキー(女優)と恋仲で、コーキーの兄(俳優)はバーティーの友人で、エズモンドの従妹ガートルードが恋人。
 デヴリル・ホールには、エズモンドの未婚のおば4人と未亡人のおば(ガートルードの母)がいる。おばたちは二組の結婚に反対している。
 デヴリル・ホールには、イモリ好きのガッシーも招待されているが、婚約者のマデラインは予定変更して同行せず。
 ガッシーは軽犯罪で刑務所に拘禁されることになり、マデラインにそれを隠すため、バーティーがガッシーと名乗って滞在する。
 ガッシーの刑が罰金に軽減されたので、ガッシーはバーティーと名乗って滞在。
 ホールのメイドは無信心者のドブス巡査が恋人。
 4組の恋人8人で恋の季節。
 ホールの執事はジーヴスの叔父さん。

2019年9月12日木曜日

ジーヴスと朝のよろこび(7)

 バーティのアガサ伯母さんがウォープルスドン卿と再婚した。卿には先の結婚でできた娘と息子がいる。
 娘はバーティの元婚約者のフローレンスで、現在、スティルトンと婚約している。スティルトンは田舎で警察官をしており、そのことでフローレンスと喧嘩している。
 バーティの友人で小説家のボコは、卿が後見人をしているノビーと婚約しているが、後見人の結婚の許可が得られない。
 今回は二組の婚約者にバーティーが振り回される。

2019年9月9日月曜日

サンキュー、ジーヴス(6)

 シリーズ6冊目だが、作者序文に長編第一作目とあるので、バーティーが友人ガッシーの縁結びをする前の話になる。
 本作では、バーティーは友人チャッフィーの領地内のコテージを借りる。チャッフィーの伯母がグロソップと結婚予定で、グロソップの友人であるアメリカ人の大富豪がチャッフィーの館を買い取り、改装してグロソップの病院にする計画。チャッフィーとアメリカ人の娘(バーティーの元婚約者)が相思相愛だが、結婚に障害が生じて、バーティーとジーヴスが解決する。その際、グロソップとバーティーは和解する。

2019年8月29日木曜日

でかした、ジーヴス!(5)

 ウッドハウス・コレクションの第5集だが、内容的には「比類なきジーヴス」、「それゆけ、ジーヴス」(3)につづく。短編集。
 「よしきた、ジーヴス」(2)、「ウースター家の掟」(4)に過去の出来事として出てくるエピソードを扱ったものがある。
 雑誌編集長の友人シッピー、小説家と結婚した友人ビンゴ、友人でいとこのアンジェラの婚約者タッピーなど。
 寄宿学校の無断外出した女の子を見とがめられずに部屋に戻すエピソードなど。

2019年8月21日水曜日

ウースター家の掟(4)

 トム叔父さんが買う予定のウシ型クリーマーがバセット氏に買われてしまう。ダリア叔母さんが、バーティーにバセット氏からウシ型クリーマーを盗みださせようとする。
 イモリ好きの友人ガッシーの婚約者マデラインがバセット氏の娘。バセット氏が二人の結婚に反対するのを解決する。バセット氏の姪がバーティーの友人と婚約しており、こちらの結婚も承諾させる。
 バセット氏の友人ロデリック・スポードはマデラインを愛している。バーディーが危機を脱したのは、ジーヴスが、自身所属のクラブからロディリックの弱みになる情報を入手したおかげ。

2019年8月20日火曜日

それゆけ、ジーヴス(3)

 シリーズ第三作目だが、内容的には第一作目より以前の時期のものがある。
 短編集。長編と関係してくるのは、バーティーの婚約者フローレンス・クレイが婚約破棄する話と、コックのアナトールがダリア叔母さんの家にくる話。
 

2019年8月13日火曜日

サトクリフ

 サトクリフの歴史物語の作品をほぼ年代順に並べてみた。
1.太陽の戦士
2.英雄アルキビアデスの物語
3.ケルトの子馬
4.闇の女王にささげる歌
5.第九軍団のワシ
6.ケルトとローマの息子
7.銀の枝
8.王のしるし
9.辺境のオオカミ
10.三つの冠の物語
11.山羊座の腕輪
12.ともしびをかかげて
13.落日の剣
14.アネイリンの歌ーケルトの戦士の物語
15.夜明けの風
16.ヴァイキングの誓い
17.剣の歌ヴァイキングの物語
18.運命の騎士
19.シールド・リングーヴァイキングの心の砦
20.ロビンフッド物語
21.イルカの家
22.ほこりまみれの兄弟
23.女王エリザベスと寵臣ウォルター・ローリー
24.白馬の騎士、愛と戦いのイギリス革命
25.はるかスコットランドの丘を越えて
26.血と砂、愛と死のアラビア

<伝説、神話、ファンタジー>
27.トロイアの黒い船団
28.オデュッセウスの冒険
29.炎の戦士クーフーリン
30.黄金の騎士フィン・マックール
31.ベーオウルフ
32.アーサー王と円卓の騎士
33.トリスタンとイズー
34.アーサー王と聖杯の物語
35.アーサー王最後の戦い
36.竜の子ラッキーと音楽師
37・子犬のピピン




2019年8月12日月曜日

よしきた、ジーヴス(2)

 バーティーの友人のイモリ好きのガッシーが、一目ぼれしたマデライン・バセットと婚約するまで。
 バーティーのダリア叔母さんの娘アンジェラとその婚約者タッピーが婚約破棄してから仲直りする。
 ダリア叔母さんのコックのアナトールが辞職しようとし、ガッシーが生徒の賞状授与式で騒動を起こす。

2019年8月2日金曜日

比類なきジーヴス

 友人のビンゴ・リトルが次々に女性を好きになっては振られ、最後に小説家ロージー・M・バンクスと結婚するまで。
 その途中バーティー・ウースターは、精神病医師サー・ロデロック・グロソップの娘オノリアに求婚されたと勘違いされて婚約するが、父親のグロソップに精神病患者と思われて、婚約破棄される。
 ビンゴの伯父ビトルシャム卿にも同様に精神病患者と勘違いされる。

2019年6月27日木曜日

サトクリフ「辺境のオオカミ」

 イギリスがローマ帝国の属州だった時代の話。三冊書かれた後、時間を置いて書かれた四作目。
 これは、児童文学の分類でいいのか疑問に思う。子供に理解できる文章としては難しいように思うからだ。文章そのものは前の三作同様平易で、抽象的で形而上的な文章はないが、事情を直接説明する文章がなく、自分で文章のその先を推理しなけければ、意味がわからない箇所がたくさんある。
 主人公が砦の指揮官だったときに、敵が攻めてくる。救援を呼ぶため狼煙は霧のため役にたたない。そこで、使者を三人出すが、三人の死体を敵に見せられる。二体は砦の中に投げ込まれるが、一体は、砦の塀を超えられず塀の外に落ちる。
 救援が来る前に全滅しそうなので外に出て近くの砦に向かおうとするが、副官にこういう場合は、動かず救援を待つ規則になっていると反対される。結局、反対を押して、外に出て、途中で全滅しそうなところに、味方の救援がくる。
 どうして、予想に反して早く救援がきたのか?
 主人公は上官に、殺された三人の顔を確認したか、敵が負傷者か年寄りを一人犠牲にして、勝利しようとしているとは考えなかったのかと聞かれる。
 結局、使者の一人は生きていて、救援を頼めたということだ。しかし、この結論を直接読者に伝える文章はない。でも、どういうことか、じっくり考えるとわかる事実は示されているし、その結論を導き出すのは、そう難しくはない。そして、あっさり結論を示されるより、自分でその結論に達した方が、「そうか、そういうことだったのか、なんと愚かだったか、もっと落ち着いていれば・・・あのまま砦で救援を待ってさえいれば・・・」と主人公が思ったであろうことを読者が自分でしみじみ感じ、考えることだろうと思う。
 その方が余韻がある。
 このように、読者が文章を読み解かなければ意味が分からない文体で進む。
 中盤で子供の読者は理解できているのか心配になってくる。 
 ネットの感想を読むと文章のわかりにくさを翻訳家のせいにしているのを見かけた。
 これは、翻訳のせいではなく原文のせいだと思うが、子供用にわかりやすく翻訳する方法もあったとは思うが、どうだろうか?
 おもしろい児童文学は大人になって読んでもおもしろいが、子供の時に読みたかったと思うときも時々ある。これは、今までとは違う意味で子供の時読んでみたかった。どこまで理解できたか、とても興味がある。
 ただ、題材的にも大人の方が読んでおもしろいのではないか。大人の方が、上司と衝突して自分の考えどおりできず、いろいろ思うことが多い。この状況は、子供が親や先生や友人が求めていることと違うことをしたがるのとは、かなり違う。
 凝った文体になったのは作者が簡単な文章に飽き足らなくなったのか、ストレートに書いてしまうと重みにかけて内容にそぐわないと思ったのか。
 ただ、わかりにくいヒネッタ文章という点では、ディケンズの方がはるかに上をいっているように思う。
 謎解き好きはイギリス人の特徴なのか、ハリー・ポッターもファンタジーやホラーというよりはミステリー小説としておもしろかった。

2019年5月10日金曜日

トルストイの「跳躍」

 河出書房新社のトルストイ全集13「民話と少年物語」の「跳躍」を読みながら、「これは、読んだことがある」と思った。
 小学校の教科書か、テスト問題で読んだ。「このときの登場人物の気持ちは?」という問題に答えた記憶がある。
 船の上で、少年がマストのてっぺんに上り、墜落して死にそうになるとき、父親が飛び込めと声をかけ、海に飛び込んで助かるという内容だ。
 子供の頃読んだきりで、50年も忘れない話を書くとは、さすがトルストイだと思う。
 

2019年4月23日火曜日

北海道新幹線の座席指定

 新函館北斗駅で乗車して大宮駅で下車し、京浜東北線に乗り換える場合。
 座席指定は8号車の通路側にとり、下車15分前にデッキに出て進行方向に向かって左側に位置し、新幹線改札通過後向かいの改札から中央通路に出て、東側乗車口からパスモで入場すること。
 下車駅で清算もできるが、並ぶ場合がある。
 改札入った後の通路は階段を駆け上がってくる人などがいて、人とぶつかる危険の点では、中央通路を通った方が安全。
 駅ネットで自分で座席指定ができるが、システムに任せてみた。今後AIで最適な座席指定をしてくれることを期待したい。
 

2019年3月9日土曜日

新書太閤記

 吉川英治の「新書太閤記」を読んだ。
 明智光秀が織田信長を殺した事情は、今風に言うと「上司のパワハラにより精神的に追い詰められ正常な判断ができなくなったから」だと思う。
 つい、赤穂浪士を連想した。
 もともと殺人動機としては、恨みによるのが普通で、自己や他人の利をはかったり、世の中のためを思ったりする場合のほうが少ないように思う。
 ただ、この当時は、政治的な動機で戦争をするのが通常だし、もともと頭がよく理性的な人間が、後先考えず感情的に行動したとは考えづらく、つい、深読みしてしまうようだ。
 でも、最近のニュースなどをみると、「パワハラによるストレスのため」というのは実に説得的だ。
 さすがは、吉川英治だと思う。作品が時代遅れにならない。
 主人公が秀吉だが、晩年の朝鮮出兵の前で作品が終わっている。三国志も諸葛孔明が死んだところで終り、最後のあまりおもしろくないところは割愛しているので、単純に秀吉のしたことが面白くなくなったから終わったのだとは思うが、日本の植民地政策との関係で時代的に難しい点があった影響もあったのではないだろうか。
 光秀の重臣の斎藤利三の娘が後の春日野局(家光の乳母)だということを知った。「光」といえば光秀の「光」、いとこの名も「光」がついている。明智家で代々つける字だとするとなにか因縁を感じる。どうして誰が「光」の字を選んだのだろう。

2019年1月6日日曜日

トム・リプリー

 ハイスミスの小説の主人公トムが、5作品で何人殺害するか数えてみた。
 有名な映画「太陽がいっぱい」の原作では二人。二作目「贋作」では一人。三作目「アメリカの友人」では五人。三作目「リプリーをまねた少年」では一人。五作目「死者と踊るリプリー」では誰も殺していない。
 全部で9人になる。作者の死で結果的に五作で終わったが、作者が長生きしたら六作目もあったのではないか。どんな内容になるか考えてみるのもおもしろい。
 一作目は三回、二作目以降は二回読んだ。結構忘れている。トムが結婚していることは完全に忘れていた。